今回は前回の記事の続き、、。
ユニバーサルスタジオジャパンを再生させた盛岡氏の方法
これの続きです。
今回もプログラミングの話、、、いっさい出てきません。
僕の趣味の経営うんちくにお付き合い下さい(笑)
前回は
①不必要に狭いターゲットからの転換
②ジュニアプログラミングスクールコードも最初はターゲットが狭かった事
③USJの3弾ロケット構想
④沖縄本島北部に盛岡氏のチームがテーマパーク建設を検討している事
について書きました。
で、文字数が多くなりすぎて、2回に分けて書く事に相成りました。
前回紹介した大ホームランアイディア
前回は2弾ロケットの一つをご紹介しました。
USJでは、中期計画を、3弾ロケット構想と掲げ、
3弾目に繋げるために全てを賭ける戦略を取っていました。
なぜなら、3弾目は巨額投資が必要になるにもかかわらず、
必ず当たるという自信を持っていたからです。
3弾目のために投資を制限しながら、売上・利益を大幅に
増やすための、2弾目のロケットに革新的なアイディアが必要でした。
その中でも、大ホームランを出したアイディアが、
ハロウィンホラーナイトです。
パーク中を巨大なお化け屋敷にする。
というこのコンセプトは爆発的な集客を生み、しかも
設備投資額は0円という秀逸さでした。
USJ。もう一つの大ホームランアイディア
もう一つのアイディアは、盛岡氏がどうやってこのアイディア
に至ったか、詳細に書かれています。
まさに苦しみという表現がピッタリで、寝ても覚めてもアイディアを
考え続ける毎日だったようです。
どうやってお金をかけずに、大規模集客を実現するか?
毎日毎日USJ内をウロウロしながら、考え続けたそうです。
そしてある日夢を見ました。
後ろ向きに走るジェットコースター
確かに、夢を見たそうです。巻き戻し映像のように、後ろ向きに
走るジェットコースターを。その瞬間、キタ――(゚∀゚)――!!と飛び起き、
忘れないうちにノートに書きおこしていきました。
このアイディアの秀逸性は2つあります。
まず、後ろ向きに走るジェットコースターと言われるだけで、人間の最も恐怖を
感じる後頭部からの落下を思い浮かべ、そのインパクトが伝わる事。
そして、今あるジェットコースターの進行方向を変更するだけなので、
これまた設備投資かかからずに済む事です。
革新的アイディアのためにはチームの意識改革が必要
そのアイディアをUSJスタッフ会議でぶち上げた時のメンバーの
リアクションは散々でした。
①後ろ向きに進むという技術的な問題をクリアーできるのか?
②行政からの許可が下りるのか?
③今まで後ろ向きのジェットコースターが無かったのは、何か
致命的な欠点がある。だからこの世に無いんだ!
できるんなら、とっくにこの世にあるはずだ!
というリアクション。
①、②については、確かにごもっともだと。
なんとかクリアしていく課題であると。しかし、③だけは許せなかったそうです。
これこそ方向性を間違えたこだわり。
「誰でもいいから代案を出してみろ!」
と、言い放ちました。
ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜
技術的課題と行政の許認可のハードルは、メンバーの頑張りでクリア。
かくして、世界初の「後ろ向きに走るジェットコースター」は実現のもの
となったのです。
スタート当初の待ち時間は、まさかの9時間待ち、、、、。(笑)
こちらもハロウィン同様、凄まじい集客効果がありました。
ハリーポッターのリスクを何故とるのか?
満を持して、書く事ができます。
3弾ロケット構想の3弾目。ハリーポッターエリアについてです。
投資額が450億円と、当時のUSJに取っては考えられない巨額投資です。
当時の年間売上は800億円。利益ではなく、売上の話です。
各メディアからも、「いくらなんでも450億円ものリスクを取る必要
あるんですか?」と聞かれる事が多かったそうです。
USJがリスクを取る理由①ハリーポッターをゲットできるチャンス
ハリーポッターのアトラクションは、ライセンスの問題で、
手を上げればどこにでも作れるという訳ではありません。
つまり、日本USJが手を上げなければ、他のテーマパークが
ゲットしてしまうのです。事実日本にできなければ、どこかアジアの
テーマパークにできてしまっていたと、盛岡氏は言います。
USJがリスクを取る理由②ハリーポッターの稀有なブランド力
映画のブランド力は劣化していきます。
その映画のファンは時間が経過するごとに、年を取っていき、
ファンの総数は減少していきます。あのE・Tですら、集客力が
落ち始め、USJで10年もたなかったのです。
そのため、しっかりとした根強いファンを持っている映画しか
アトラクションの対象になりません。中途半端なブランドだと、
あっという間に劣化してしまうのです。
仮に中途半端なブランドを使ってアトラクションを10個作るよりも
1つに絞って大きく投資した方が、ずっと効率的なのです。
USJがリスクを取る理由③数学で成功の確率を割り出していた。
これまで僕は大量の本を読んできました。特に経営関係の本を。
しかし、どんな本でも、数学的に成功の確率を予測し、成功するべくして
成功した。という話が出てきたことはありませんでした。
経営にまつわるほとんどの本は、数学的なロジックが出てきません。
その地域の人口とか、この法則を守っている会社は90%が成長しているとか、
市場規模の推移という言葉は出てきますが、全て過去から現在に至るまでの
数字についてです。肝心の未来の数字をどう予測するかという方法論を見た
事がなかったのです。盛岡氏は独自の調査方法で、ハリーポッターエリア
を作ると、集客が増え、売上がいくら増えるのかという「数字」を持っていました。
他の会社にも計算してもらい、リスクを下げる
しかし、あまりにも投資リスクが大きいので、外部の調査会社に同じように
ハリーポッターでいくら売上が増えるのか?という調査をしてもらいます。
もちろん調査会社には、盛岡氏が行った計算式や、答えとなる数字を教えずに
あくまで調査会社が客観的に分析できるように配慮しています。
そして、いよいよ調査会社の計算結果があがってきます。
答えは、、、盛岡氏が持っていた数字とほぼ一致していたのです。
この答えで、「USJエリアを作れば、必ず成功する」
という自信につながっていたのです。
アイディアは実行時の細部をどこまで詰められるか
いよいよハリーポッターエリア着工です。
盛岡氏は、本の中で「アイディアを実現するだけで、
満足する人が多いが、細部の詰めを怠ると、90点のアイディアが
30点くらいになってしまう。」と言っています。
実際に現場に張り付き、気になった事や改善点を見つけていく。
戦略が成功するように、より効果的な施策(戦術)を考えるといったような
事です。
沖縄にUSJはできるのか?盛岡氏の次なる挑戦
そして、冒頭の新聞記事です。朝なにげな〜く新聞を見ると、
「あ、盛岡さん写ってる!」と思い、すかさず切り抜きました(笑)
これね〜。沖縄に住んでいると、割と「新しいテーマパークできるってよ」
という噂はよく聞こえてくるんですね〜。特に3年前にも盛り上がっていた
時がありました。
沖縄北部にUSJが?
普天間基地返還跡地に東京ディズニーランドが?
こんな感じです。県民としては、そういう噂が出てくるたび、「またまた〜」
と思っていた次第です。
しかし、盛岡氏が一緒に写っているということは、「あれ、今回は本気かも?」と。
まあ、USJという名前ではなく、違う名前で検討しているようですが。
沖縄にUSJができるかは、盛岡氏の統計予測しだい
ブログで2回にわたって盛岡氏のメソッドを取り上げました。
しかし、まだご紹介できてない、盛岡氏のノウハウがあります。
それが、数学マーケティングです。
確率思考の戦略論〜USJでも実証された数学マーケティングのちから〜
数学マーケティングのノウハウは、この本に書かれています。
どのようにして、ハリーポッターの投資による収益を予測したか、
需要を予測するための市場調査の仕方について、細かく書かれています。
こんな感じです。
つまり、盛岡氏が関わっているということは、実現できるかどうかはともかく、
科学的かつ真剣に数字に基づいてテーマパーク構想が検討されているという事です。
沖縄にUSJを作るためのハードル
沖縄本島北部にテーマパークを作ろうという時、
いっっつも話題になるのが、北部の渋滞をどうするのか?という事
です。
高速道路が名護市街地まで届いていない事、名護市街地から出るためには
道が一つしかなく、大渋滞を引き起こす事があります。
また、宿泊していくには、宿泊施設が足りないという事情も。
そのため、行政の協力が絶対に不可欠。
道路インフラの整備、さらには、北部に空港を建設する事も検討事項に
なるでしょう。新聞 記事にあるように、実際に行政に協力を要請しているようです。
なお、規模は小さいですが、既に那覇⇔名護間で高速船が運行する
予定です。
沖縄にUSJはできるのか?盛岡さんの次なる挑戦 まとめ
いかがでしたか?
・USJの3段ロケット構想
・ハリーポッター投資の論理的な裏付け
・沖縄USJの可能性
このあたりについて、書いていきました。機会があれば、今回書ききれなかった
数学マーケティングのノウハウもご紹介していきたいです(^^)
それでは、また。