ITのニュースサイトを見ている方はご存知の方も多いと思いますが、
日本語プログラミング 言語「なでしこ」が2021年度の中学校の教科書で採用されました。
ということで、今回は「なでしこ」というプログラミング言語を利用して
コーディングをしていきましょう。
日本語で書けるプログラミング言語「なでしこ」とは?
日本語プログラミング言語「なでしこ」の大きな特徴は
「日本語でプログラミングができる」という点です。
一般的に、プログラミングは英単語、数字、記号でパソコンへの命令文を記述していきますが
「なでしこ」は日本語でパソコンへの命令を記述することができます。
例えば “こんにちは”と表示するプログラムは、python言語で次のように表すことができます。
1 |
print(“こんにちは”) |
これを「なでしこ」で記述するとこうなります。
1 |
「こんにちは」と表示 |
完全に日本語です!
下記のリンク先から「なでしこ」を実行することができるので
実際にプログラムを入力して試してみてください。
https://eznavi.net/nade3/index.php
実行結果
このように、日本語でコードが記述できるため
英語が苦手な方でもプログラムの処理内容が
理解しやすいというメリットがあります。
次は「なでしこ」の基本構文をみていきましょう。
「なでしこ」は3つのパターンで変数が作れる!?
日本語は曖昧な言葉といわれますが、「なでしこ」でもその片鱗が見られます。
通常、プログラミングで変数を作成する場合はイコールを利用します。
1 |
something = 10 |
一方「なでしこ」では下記の3つの方法で変数を
作成することができます。
1 2 3 4 5 6 |
#パターン1 リンゴ値段=300 #パターン2 リンゴ値段は300 #パターン3 リンゴ値段に3000を代入。 |
この3つ書き方は全て同じ意味で[リンゴの値段]という変数に[300]を設定しています。
同じ結果なのに複数の書き方があるのは不思議な感じがしますね!
日本語プログラミング言語「なでしこ」の繰り返しは「回」を利用する!
次は「なでしこ」の繰り返し処理を見てみましょう。
繰り返し処理も日本語なので簡単です。
単純に何回処理をしたいか書くだけでOKです。
例えば「おはよう」を3回表示するプログラムは次のように書くことができます。
1 |
3回「おはよう」と表示。 |
実際に実行するとつぎのようになります。
ここまでは簡単です。
次は回数を決めた繰り返しではなく、
「ある条件の場合は繰り返す」
という処理を書いてみましょう。
次のプログラムをみてください。
1 2 3 4 5 |
数=1 (数≦3)の間 「おはよう」と表示。 数=数+1 ここまで。 |
ちょっと分かりにくいのですが、プログラムの流れは次の通りです。
- 「数」という変数に1を保存します。
- 現在「数」は1で3以下なので「おはよう」と表示します。
- 「数」を今の「数」プラス1します。(「数」を1増やす )
- 現在「数」は2で3以下なので「おはよう」と表示します。
- 「数」を今の「数」プラス1します。(「数」を1増やす )
- 現在「数」は3で3以下なので「おはよう」と表示します。
- 「数」を今の「数」プラス1します。(「数」を1増やす )
- 現在「数」は4で3以下ではないので「おはよう」と表示しません。
実際にプログラムを入力して確認してみましょう。
実行結果
その他のコーディングの記述につきましては、公式サイトのマニュアルで確認してみてください。
ここからは、「なでしこ」を利用して簡単なプログラムを作成してみましょう。
日本語プログラミング言語「なでしこ」で掛け算九九を表示する
まずは簡単なプログラムとして、「なでしこ」で掛け算九九を表示してみます。
プログラムは下記の通りです。
1 2 3 |
段を1から9まで繰り返す 数を1から9まで繰り返す 「{段}x{数}={段×数}」を表示 |
九九の「段」は9まであるので9回繰り返し、
各段には9の「数」があるため、再び9で繰り返しています。
そして繰り返しのなかで段と数字を掛けたものを表示しています。
実行すると次のような九九表が表示されます。
日本語プログラミング言語「なでしこ」で二次関数を表示する
中学校数学といえば二次関数と言うことで「なでしこ」を利用して二次関数のグラフを記述してみます。
なでしこはjavascript(ジャバスクリプト)のcanvas(キャンバス)という描画の機能を利用することができます。
この機能を利用して二次関数のグラフを書いてみます。
機能の詳細は、「なでしこ」の「plugin_browser/描画」を参照してください。
ここからいよいよグラフを書いていきますが、注意するべき点があります。
グラフを書く場合は原点(0,0)を中心として書いていきますが
canvasの座標は左上が原点(0,0)となり、右にいくほとxの値が増加し、
下にいくほどyが増加する仕様となります。
縦横500pxのcanvasを図示すると次のようになります。
このcanvasにグラフを表示するため、縦(x=250)、横(y=250)の交わる点を原点としてグラフを記述していきます。
つまりcanvasの中心(250,250)を原点とします。
上記を踏まえて二次関数を表示するプログラムを作成すると
次のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 |
赤色に塗り色設定。 1に線太さ設定。 #キャンバスの設定 幅は500 高さは500 #原点を設定 原点Xは幅÷2 原点Yは高さ÷2 #y=0, x=0の地点に線を引く [原点X-250, 原点Y]から[原点X+250, 原点Y]まで線描画。 [原点X, 原点Y-250]から[原点X, 原点Y+250]まで線描画。 #y=0, x=0の地点にラベルを追加 [幅, 原点Y-10]に「X」を文字描画。 [原点X-10, 10]に「Y」を文字描画。 #グラフを表示する範囲 X=-18 (X≦18)の間 #表示する関数 YはX × X #×10は幅調整 [原点X+X×10, 原点Y-Y,1]に1の円描画。 X=X+0.01 ここまで。 |
このプログラムはxの二乗のグラフを描画します。
処理内容は単純で、xの値を-18から18まで0.01づつ増加させその時のyの
座標に点を描画しています。
これで見慣れたUの字のグラフが表示されました。
式を変更すれば二次関数以外の関数も表示可能です!
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赤色に塗り色設定。 1に線太さ設定。 #キャンバスの設定 幅は500 高さは500 #原点を設定 原点Xは幅÷2 原点Yは高さ÷2 #y=0, x=0の地点に線を引く [原点X-250, 原点Y]から[原点X+250, 原点Y]まで線描画。 [原点X, 原点Y-250]から[原点X, 原点Y+250]まで線描画。 #y=0, x=0の地点にラベルを追加 [幅, 原点Y-10]に「X」を文字描画。 [原点X-10, 10]に「Y」を文字描画。 X=-18 (X≦18)の間 YはX × X × X +9 × X × X + 3 × X - 40 #×25は幅調整 [原点X+X×25, 原点Y-Y,1]に1の円描画。 X=X+0.01 ここまで。 |
実行結果
今回は簡単なプログラムで「なでしこ」を利用しましたが、「なでしこ」はとても高機能で
HTMLのDOM操作やオーディオ、音声合成なんかも扱えるので是非挑戦してみてください!